訓練コース 指導力開発訓練コース Part.1
企業が求めるヒューマンスキルのかたち

管理者養成学校で行われている「指導力開発訓練」を取り上げ、管理者養成学校 校長 元橋康雄と、指導力開発訓練で講師を担当している第2指導部講師 源美晴、営業部門を代表して第3企画推進部 部門長代行 佐藤敬二の鼎談をお届けします。
●「ヒューマンスキル」とは
――まず「ヒューマンスキル」という言葉ですが、はっきり申し上げて意味不明の言葉です。しかし今、企業で大事なスキルは部下を指導していく上での「ヒューマンスキル」、いわゆる人間力というようなものが欠かせないといわれ、注目されているそうです。実際、管理者養成学校の研修に派遣されるお客様の方から「ヒューマンスキルを伸ばして欲しい」というようなニーズはあるものなのでしょうか?
佐藤 「何をもってヒューマンスキルというのか」これをまず明確にする必要がありますが、今挙げた部下を指導していく上での人間力、そういう観点でのニーズは確かにあります。
例えば、管理者にとってのヒューマンスキルといえば「具体的に部下に仕事を与える」「会社のビジョン・方針を伝える」などがあります。その他にも「どのように部下と関わったら良いのか」「仕事を通じてどのように部下の能力を引き出したら良いのか」などの問題もあります。要するにコミュニケーションスキルですね。そういう観点でいくと、やはり非常に大きなニーズといいますか、求められているところは多いですね。
――源講師は、受講生や派遣責任者の方からそういった抽象的な注文や指導の依頼があることはありますか?
源 ヒューマンスキルという言葉ではないですけれども、それはあります。今言った部下との関わり方や部下の動かし方、部下との信頼関係など「この辺を特に重点的に気づかせてほしい」「何か分からせて欲しい」などの要望はあります。
●ヒューマンスキルが生まれた背景
――この指導力開発訓練の狙いというのは、何になるのでしょうか?
元橋 その前に「ヒューマンスキル」という概念についてお話します。実はこの兆候、そんな古いものではないんです。大体3〜4年ぐらい前から流行り言葉のように出てきたんです。「人間力」と置き換えても構いません。
では、一体なぜこの言葉が生まれたのか。私なりに捉えているのは「世代が大幅に変わってしまった」ということです。つまり、管理者自身が育てられてきた時の上司との関係と、自分が上司になった時の部下との関係、この辺が時代とともに大きく変わってしまったんです。
にも関わらず、自分たちが受けてきたような気持ちで部下に接しようとすると、部下の反応が非常に悪い。さらに厳しく叱ったり、厳しく注意したりすると、すぐに部下は切れてしまう。あるいは、逆にやる気を失ってしまう。こうしたことから生じる管理者側の悩み、これが時代とともに大きくなっているというところから派生してきているんじゃないかと思いますね。そこで私はお客様からそういった要請がある時は「指導力開発訓練コース」をお薦めしているのです。
●指導力開発訓練のポイント
――「指導力開発訓練コース」で最低身につけなければいけないことはなんですか?
源 まず根底にあるのは、リーダーとしての精神や心構えです。いかに部下の能力を引き出し、強い精神を養わせるか。それが「指導力開発訓練コース」だと思うのです。そのために、まずは自分がリーダーとして自覚をもって部下に正しく仕事を与えたり、褒めたり、あるいは注意しながら育てていくことを指導します。
しかし、当然部下の反発もありますから、説得力も養わないといけません。そこで、褒め、注意、仕事の与え方、それから説得を大柱として、色々なロールプレイを行います。その体験を通してレベルアップして頂く。これが「指導力開発訓練コース」です。
●管理者研修における人間力教育
――問題なのは、派遣責任者の方が派遣した社員をどのように仕上げたいのかビジョンをもたずに、とりあえず派遣しているケースだと思います。「帰ってきて声が大きくなりました」「礼儀正しくなりました」だけでは、成果があったと言えないわけです。「指導力開発訓練コース」で得たものを、現場でどのように活かすのか」というのが、具体的かつ数値化された目標値として表せると良いと思うのですが?
源 難しいところですね。数字的に「これだけになった」というのは、残念ながらないと思います。それがヒューマンスキルというところの難しさだと思います。
元橋 しかし「指導力開発訓練コース」を受けた指導者によって、今までうまく機能していなかった部門が生き生きと機能し始めたという評価は派遣元の企業様から頂いています。これはとても大事なことです。
今まではどちらかというと、技術力の方を優先して管理者になっているわけです。ところが、今は時代的にも人間力の方が求められています。預かった部下・部門を活性化し、部下が生き生きと仕事をしてくれる。仕事をしてくれるということは、当然業績に反映するわけです。そういう意味で「活性化力」につながるのが、この人間力教育だと思うのです。そういう面では、私共の「指導力開発訓練コース」というのは貴重な存在だろうと考えています。
●企業・派遣責任者が期待するもの
――「指導力開発訓練コース」に対して企業が期待する、もしくは派遣責任者が期待する仕上がりといいますか、会社に帰ってきてどのようなことができていると「管理者養成学校の指導力開発訓練にいって良かったな」という評価が下されるのですか?
元橋 派遣責任者の方が「指導力開発訓練コース」に求められるものというのは、注意、叱り方、その比重が一番大きいですね。それから、次は褒め方です。そのあとは、仕事の与え方です。注意、叱る、褒める。それから仕事を与える。また、説得というのも大きなテーマです。ここに評価のポイントがあると思います。
――その辺りというのは、むしろ親が子供に教育する点ですよね。
元橋 そうですね。でも今は、それができない。
源 どうやって褒めたら良いか、注意したら良いか、叱ったらいいかというのは意外とできないんですね。でも、参加された方から一番よく聞くのは「褒め方や叱り方以上に、自分が部下に全然関心がないことに気づかされた」ということなんです。
また、よくお客様から「コーチングとどう違うんですか」ということを質問されるんですが、私が思うに「指導力開発訓練コース」には、コーチングの内容が全部入っていると思います。そしてさらに「説得」をテーマに事例研究とロールプレイを進めます。これによって「指導力開発訓練コース」は、総合的な人間力がトレーニングされるという感じを持っています。
要するに、本人のスキルのみならず上司部下の人間関係などの心理的なところまで突っこんだ訓練をします。だからこそ、説得力がアップする。これが「指導力開発訓練コース」の大きな特徴だと思います。
●「説得」の必要性
――「説得」といわれると、何か嫌なことを聞かされるような気がしますが、具体的にはどういった時に必要なのですか?
元橋 本当に説得するとなると、例えば「退職したい」などと部下が言った時になります。そうした社員の辞めたい理由を聞いたり、その人の必要性を話していると、中には「自分は期待されていないんだ」と勘違いする身勝手な人がいます。普段は言わなくても、そういう時は「会社はこのように期待しているんだ」という話をしっかりとしてあげる必要がありますから、それで気持ちを治めるといったことによく使います。
佐藤 「指導力開発訓練コース」の説得の事例としては「配置転換や部門同士でのちょっとしたいざこざをうまくまとめる」などがあります。特に「こんなときに説得をしなさい」とか、そういう話ではないのです。褒めるや注意するも全部そうなのです。
●部下との信頼関係
元橋 人間関係ができていれば、説得というのは非常に効き目があります。伝えたいことと、相手の理解度が高まるのです。説得というのは、とても難しいのです。説得をするには、説得する人とされる人の間に信頼関係がなければいけない。それに、説得するというのはものすごく体力がいる。だから、皆できないんですよ。
その一方で「説得しなきゃいけない」「なんとか理解させなきゃいけない」という立場の上司が、相手の気持ちを聞いて「分かった」と簡潔に答えを出してしまう。これも説得ができないタイプですね。
説得するという技術は多面的に体験しておかないと、管理者たる者の資格には劣るということになるでしょう。
――説得というのは、見返りがないような気がするんです。そうすると、それは技術として成立するものですか?
佐藤 技術的なものもあるのでしょうが、私は訓練というのはトレーニングしていくうちに技術が感情に移入していくことじゃないかと思っています。感情の啓発というか、感情面、情的な面に入っていく。そこで初めて信頼関係や情関係が結ばれて成功するというか、成立するのではないでしょうか。
――ということになると、まず信頼関係を築くための訓練をしないと駄目ですね。
元橋 信頼関係というのは、そんなに簡単にできるものではありません。まず上司は上司たる、管理者たる意識と行動を示していかないといけません。そうすることが、総合的に社員から信頼性を高めることなんです。そうすれば、何か説得をされた時に理解力が全然違ってきます。私は総合的に人間力やコミュニケーション力というものは、訓練によってかなり高まるだろうとみています。また、それをお客様は期待されているはずですし、指導する側もそういう方向で指導しています。
(Part.2へ続く)
2008年9月9日