株式会社福屋工務店
総務部部長 道家 利弘 様
地域密着で社会貢献ができる
不動産業界の百貨店が目標
●メインは不動産の仲介
道家 当社は「工務店」と名乗っておりますけれども、大工さんは一人もおりません。「工務店」というのは昔の名前の名残でして、メインは「不動産の仲介業」を行っております。
もちろん、家も建てますが、それはどちらかというと二次的な産業です。その他、家に関する「火災保険」や「リフォーム」という不動産にまつわる仕事全般を同時に行っております。
●課題は離職率を低減すること
現在、当社で特に課題になっていることは、離職率です。5年ぐらい前までは、離職率が約40%でした。それが現在、ようやく20%台に下がってきました。それまでは、面接を行い、採用し、育成しては、退職するという繰り返しで、採用費が無駄になってしまうケースが多かったのです。
しかし、関西ではありがたいことに名が通っていますから、人は集まってきます。そして、採用しますが、続かない、もしくは馴染めないという人も当然、中には出てきます。しかし、私は本人に責任は一切ないと考えています。当社がどのように教育するかで社員は変わりますから、これは教育する側の問題だと思っています。
従って「辞めさせる店長のあなたが悪い、あなたがキチンと教育できなかったためにその社員は辞めてしまったのだ。この店長のためやったら死ぬ気で頑張ろうという社員をどうして作れないのか」と、必ず店長を叱咤します。
そうしますと、店長は「どんくさくって、覚え悪いし、要領が掴めへんし、この業界に向いてないタイプなんですわ」と、理由づけして辞めてもらう理由をたくさん並べてきます。「しかし、辞めた本当の理由は、店長との人間関係、もしくは会社や店舗の雰囲気に馴染めなかったことと違うの?そのような失敗を二度としんときや」と、話しております。
しかしこれでは、離職率はいつまでたっても20%台から改善しません。従って、いかに人を採用して辞めさせないかということが現在の大きな課題です。この業界は、設備投資がいりません。最低限の設備の店舗を作り、あとは社員さえ来れば商売ができるのです。そこさえキチンとすれば、会社の業績は伸びるのです。
●営業ができる「人材」の育成方法とは
会社の業績を伸ばすという点では、当社は営業会社ですので「営業ができる人材」を育成するということに重点を置いています。
営業のできる人材とは具体的に言うと、当社には「誠実・努力・闘魂」という社訓があります。この社訓は「誠実」は徳を運び込むための所作であり、そのために「努力」するということ。そうしないと「闘魂」も現れないという意味です。
しかし、そのような営業ができる人材にする前に、まずは当たり前のことを当たり前にこなせる人材にしなければなりません。その当たり前のレベルが世間のレベルより高くなければ、会社のコンプライアンスに捉われることが多くなってしまいます。そのレベルをいかに上げていくか、ということを重視しています。
不動産業界というのは、ええ加減な人間が多すぎる業界なのです。昔から「キツイ・暗い・怖い」というイメージで、どちらかというと普通の仕事ができないので、落ちこぼれたけれども、お金は欲しいというバイタリティの強い人が集まってきやすい業界でした。そのような普通なことをこなせない人を当たり前のことを当たり前にこなす「人材」にしてあげないと会社は成り立っていきません。
●研修導入のきっかけは役員の感動
株式会社 社員教育研究所 管理者養成学校の研修導入のきっかけは、不動産業界がマイナスイメージであった当時、ちょうど役員の中に当社に入社する前に自費で管理者養成学校の研修を受講して、非常に感動したと話していた者がおりましたので、研修を導入しました。
その後「社内全体に2割ぐらいの管理者養成学校出身者がいるとその会社は劇的に変化していく」という話しをどこからか耳にして、徐々に派遣人数を増やしていきました。当時は、社員各々が考えている誠実や真面目のレベルが全然違いましたので、このレベルを会社が考えている一定のレベルまで引き上げたかったのです。
現在、規律などに関しては、見事なものです。毎月、店長会議で朝礼を行いますが、全員、管理者養成学校を卒業しているため「気をつけ」「お辞儀」「礼」のタイミングや呼吸、発声が、ビシッときれいにおさまります。これは本当に素晴らしい。
管理者養成学校を卒業した人間というのは、周りにいる人間に非常に良い影響を与えます。もし、店長が代表で行ってきたら、部下に対して「規律」「礼儀」はうるさくやってくれますから、それはとてもありがたいことです。
研修に関しては、現在店長を「管理者養成基礎コース」に派遣しています。次は経営幹部の派遣を考えております。
●自社研修では愛社精神の浸透を行う
今後の研修計画としては、自社研修として店長を目指す人材へのクラス別研修を行っております。当社では、店長は完全に管理職であり、責任職でもあります。全てのことを権限委譲する方針で行っておりますので、権限委譲できるような人財にするための事前研修を行っているのです。具体的に何を行うかと言うと、愛社精神を浸透させているのです。「福屋を愛しなさい」「福屋の中で懸命に努力をしなさい」ということを行っているだけです。
当社では、店長は福屋の最高の宝です。全社員720名中、営業は約400名おりますが、その中でも店長は80名しかおりません。最高の宝になれるのは限られた人のみですから、店長になることを第一目標にして、皆頑張っています。
そのために、OJTも含めて店長になる事前研修を行っているという状況です。研修では月に数回、係長、主任というそれぞれのクラス別に分けて、このような意識づけをさせています。この意識づけというのは、コーポレートガバナンスという意味合いからも、会社をいかに統制統治していくかという点においても重要なことです。
●金太郎飴のような社員の意識
意識という面では、社員は全員、金太郎飴でないといけません。福屋の社員はどこでどのように切っても、同じ考えを持たなければなりません。
当社の社員は、約9割が中途採用です。金太郎飴にするためには、中途採用者を「福屋カラー」に変えていかないと駄目なわけです。ゆっくりしたことはできませんので、前からついていた色を消す前から当社の色を被せていくというのが当社の研修方法です。「福屋はこうです。福屋魂というものはこのようなものです。」と、福屋の考えはこのようであって欲しいということを、研修の中でどんどん注入していきます。
それを誰が行うかというと、人事担当者だけではなく、店長も含めた上の社員が講師として教壇に立ち、先輩から培った歴史をそのまま下に伝えていくのです。ある意味それが伝統ですが、それとは違った意味で「伝承が大事ですよ」ということも伝えるのが当社の研修です。
●社員の悩みの心のケア方法
そのような自社研修の中で今後予定している対策としては、フォロー研修で個人個人の悩みを聞いていくことです。社員に対する回答をキチンと明示して、対社員との膝詰めでの話し合いを行おうとしております。一人の人間に対して担当一人が受け持つのではなく、何人もの担当が同じようにその人との面談を行うようにしております。
それと同時に会社をあげてメンタルヘルスケアの業界と提携を結び、本人が会社を通さずに電話をして心のケアをできるような体制にしております。その会社から3ヶ月に一度「今月は何人から電話がありました」という回答があり、その中にどうもこれは危険だという可能性があれば、直して連絡が入るようなシステムにしております。
Part.2へ続く
2008年9月9日